西川氏が語る新卒採用と社員教育の重要性
公開日:2023-02-20
今回は大阪府八尾市に本社を構える株式会社八光殿の専務取締役、西川様にインタビューをさせていただきました。
前回に続き今回のインタビューでは、葬祭業界ではまだまだ珍しい新卒採用や入社後の研修、社員のキャリアプランなどのお話を伺いました。
後半からは、現在活躍中の社員さんのことや職場環境、そして株式会社まなか流の採用基準について伺っていきます。
インタビュー前半はこちら


株式会社八光殿
専務取締役:西川 正章さん
2018年専務取締役就任。
就任前は教育業界にて約30年間勤務。



新卒採用を積極的に。八光殿流の人材確保と育成とは。

貴社では新卒採用も積極的に行っておられますが、葬儀業界で新卒採用を行っている会社はまだまだ少ないと思います。
新卒採用に力を入れ始めたきっかけを伺えますか。

西川:実は私が入社した当時、経験者も未経験者も既卒の方をたくさん採用して、組織のメンバーを増やしつつ会館も増やしていきたい、というロードマップを作っていました。

ところが、実際に既卒採用をスタートして、様々な求人媒体や紹介会社さんにお話を聞いてみたのですが、なかなか採用できる人材が見つかりませんでした。
どうやら葬祭ディレクターは、転職やジョブローテーションといったことに縁遠い人が多かったようなんです。

葬儀業界で経験者を沢山採用することは、とてもハードルが高いのだと分ったことは、新卒採用に力を入れ始めた大きなきっかけの一つでした。

葬儀の仕事は、ベテランの力も大切ですが、若い人たちの感覚やセンスも重要です。
そこで、葬祭業界に特化した専門学校を卒業した生徒を採用することはもちろん、大卒者の採用にも力を入れることにしました。
大学4年間で勉強したこと、サークル活動やアルバイトの経験を経て、様々な人生の引き出しが作られます。そうして培われた経験は、意外と葬儀の仕事にマッチするんじゃないか?と思い始めたことが大きな理由です。

新卒採用に力を入れるにあたっては、まずは当社を志望してくれた学生さんと色々とお話をしました。すると、ご家族の葬儀をきっかけに「葬儀業界」に興味を持ったという方が非常に多かったんです。
要は業界への興味であり、当社への興味ではなかったという事です。

そこで、当社に興味を持っていただくために、当社がどんな会社で、どのような改革改善を行っているのかを積極的にアピールして、学生さんに知っていただく活動をすることにしました。

講演会などでお話をさせていただく機会を増やしただけでなく、これまで関西地方だけで行っていた募集を、全国での募集に切り替えました。
その甲斐もあって、今では多種多様な経歴や特技を持った学生さんが当社に興味を持ってくださるようになってきたのではないかな、と思います。

たまに「何学部の学生さんが多いですか?」と質問をいただきますが、学部は本当にバラバラなんです。一般的には宗教学や哲学、文学を学んだ方が多いのかな?とイメージされると思いますが。

確かに、経済系や法律系のイメージはありませんね。
例えばどのような学部卒の方がいらっしゃるんですか。

西川: 一例ですが、今年入社した方の中には、美術・芸術系の学校を卒業した方もいるんです。これはそういった美や芸術に関する知識やセンスを、お葬式のクリエイティビティに取り入れてもらえたらいいな、との思いからです。

今は「こういう人がこういう仕事をする」という時代ではなく、「こういう事をしたい」という人がいれば「こんな仕事でもあなたの価値を十分に発揮できるよ、表現できるよ」ということを私たちが伝えて、そのような場を創出・提供してあげることが大切な時代だと思うんです。

ありがとうございます。
新卒の方を採用すると、受け入れや教育、コミュニケーションなど様々なハードルがあると思います。特に気を付けておられることはありますか。

西川:これまで新入社員の教育は、入社後に少し研修をしたら、後は担当の先輩社員に預けるという形を取っていました。そのため、新入社員が教育担当者以外の社員と初めて顔を合わせるのが、入社してから1年後になることもありました。

一人の社員に長期間預けると、新入社員が会社に馴染むまでに時間がかかりますし、会社一丸となって新入社員をサポートする、という意識付けができる体制が必要だとも感じていたため、教育体制を大幅に変更することにしました。

今大切にしているのはオンボーディング、つまり会社全体で新入社員を迎えるということです。早い段階から様々な社員が研修に携わることで、新入社員はより早く会社に馴染めますし、既存の社員には自身の業務を見直したり、先輩としてこれからどうなりたいかといった事を考えるよいきっかけにもなるのではないかと思っています。

特に入社後から2か月間行う座学研修には、本当にたくさんの既存社員が参加してくれます。入社2年目の社員の場合もあれば、もうすぐ定年を迎えるベテラン社員から話を聞く機会もあります。

このように研修で一度でも顔を合わせていると、その後のコミュニケーションが全く違うものになるんです。結果的に会社全体の雰囲気が非常に良くなったと思います。

研修を終えて業務がスタートした際に、知っている人が誰もいないという状況を防ぐことにも繋がりますね。自分も先輩もお互いを知っているという安心感があります。
西川:そうなんです。
現場研修が始まる時には、事前に知っているというだけで歓迎ムードが出来たりするほどです。

教育体制の変更については、実際にやってみるまでは不安も大きかったのですが、会社全体で新入社員を支えることで、色々とプラスの効果が出たと思います。
既存社員の学びやレベルアップの機会が増えましたし、研修制度を活用して社内交流といいますか、活性化にうまく繋がっています。

こうしたオンボーディングを経て、入社後3か月目からは研修担当の社員と一緒に、実践を交えた研修がスタートします。10月には先輩社員と一緒に現場での勤務が始まり、2月、3月頃になれば独り立ちするという流れです。

今回例として挙げたのは、新卒入社した社員のパターンですが、既卒の方であっても、会社全体で支えるということを同じように大切にしています。新しい社員がきたら、みんなで気にかけてあげるという感じですね。結果的に会社に馴染みやすく、仕事に取り組みやすい環境が作られていると思います。

ありがとうございます。大胆に変えた教育体制が上手く機能しているのですね。 研修・教育の中で最も大切にされている方針や理念はありますか。
西川:実は研修を担当する社員によく話すことがあって、それが「八光殿の人間に染めるな」ということなんです。

それはどういうことでしょう。
西川: 普遍的な社会人としての基礎スキルを身に付けてほしいんです。
入社1年目は、たまたまたくさんの会社の中から八光殿を選んでもらったから、偶然彼ら、彼女らの1年目の研修を担当させてもらっているだけ、と考えています。

将来何かのきっかけでキャリアチェンジをすることになった場合、どんな業種、会社であっても必要になるスキルをしっかり身に付けてほしいんです。

例えば、当社で必要な仕事がすべて完璧にできたとしても、挨拶ができなかったり、お客様とコミュニケーションが取れなかったり、電話が取れない人がいたらどうでしょう。間違いなく苦労しますよね。

私はいつも、3年後5年後に当社でやりたいことをやり切ったなら転職してもいいよ、と言っているのですが、そうやって転職した時に「前の会社、八光殿だったの?すごい鍛えられてるね!社会人基礎力すごいね!」って褒められるように鍛えてあげることが大切だと考えています。

なるほど。
まずは、社会人にとっての基礎となる普遍的なスキルを教えてあげることが重要という事ですね。

西川:そうです。
前職では、先生と呼ばれていた時期もありましたが、先生は先に生まれてきた、たったそれだけです。先に生きている人がやるべきことは、後から歩んでくる人に間違いを教えないことだと思っています。正しい方法を、今の子に合わせてしっかり伝えてあげることがとても大切なのではないでしょうか。

ありがとうございます、とても勉強になりました。

社員も家族も大切にしたいから、ワーク・ライフ・バリューを目指す。

話は変わりまして、貴社の労働環境についてお伺いします。
葬祭ディレクターの場合、夜間帯の勤務が無かったり、福利厚生がとても充実していると感じました。どういった理由から整備を進められたのでしょうか。

西川:夜間帯の勤務がないということではなく、夜勤チームと日勤チームを分けているということですね。

実は社長の松村の、お父様との思い出が日勤帯と夜間帯とを分けるきっかけだったそうです。
松村のお父様も葬儀の仕事をされていましたが、夜寝ている間、頭上にずっと黒電話が置いてあったそうなんです。心休まる暇もないお父様をずっと見ていた経験から、家にいる時くらいはゆっくり過ごせる環境にしたいと考えていたそうです。

もちろん日中は家にいて、夜仕事がしたいという方もいらっしゃいます。ですからニーズの異なるチームを立ち上げて、無理なく働ける環境を作っていくことになりました。
実際夜勤がないことに驚かれる方も多いんですが、日勤と夜勤、それぞれのチームで成立していますから、この点に関してはこれからもずっと変わらないと思います。

ただ、福利厚生についてはまだまだ良くできると考えているんです。
葬儀の仕事は心身ともにハードですから、会社から社員への感謝の気持ちは基本でもあり、また大切にしています。

例えば、社員の誕生日には、社長が直筆のメッセージを書いたバースデーカードを必ず送ります。また、社員の家族にも喜んでもらいたいという思いで、クリスマスには全社員にクリスマスケーキを贈ったりもしています。

クリスマスケーキはご家庭を持つ社員の方にはすごく喜ばれそうですね。
西川:そうですね。喜んでもらえていたら嬉しいです。
また、葬儀業界はまだまだ公休の少ない業界ですから、もっと増やしていきたいという思いから、長期的に年間休日120日を目指す計画を進めています。

急にお休みを増やしたら仕事が回らなくなってしまいますし、売り上げの維持もしなければなりませんので、徐々にお休みを増やしていく計画です。

私が入社した時の年間休日は91日でしたが、現在は96日になりました。まだ目標には遠い状況ですが、代わりに有給の取得は頻繁にするように促しています。
今期からはアニバーサリー休暇や有休、公休を合わせて10連休が取得できるようになりました。

世間ではワーク・ライフ・バランスが叫ばれていますが、当社ではワーク・ライフ・バリュー、つまり何に価値をおいて生活と仕事をするのか、という事に意識を向けることが大切だと考えています。

例えば、7.5時間でしっかり成果が出せるのであれば、「仕事はそんなに大事じゃない、家庭やプライベートを大事にしたい」っていうスタンスでも良いと思うんです。
ですから長時間仕事をしているとか、長時間残業をしているのが美徳という考え方は当社ではすべてNGにしています。

そうなんですね。 そういえば新型コロナウィルスに関係する休暇制度も作られたと伺いました。
西川:新型コロナウィルスワクチン接種時の特別有給休暇ですね。
接種後の副反応で体がつらくなってしまった人も多かったと思います。
そこで、社員本人とそのパートナーがワクチンを受ける日と副反応が出た日に、それぞれ特別有給休暇を付与することにしました。

また、家族も大事にしたいというのが当社の考え方ですから、社員のご両親やお子さんが接種する日と副反応が出た日にも特別有給休暇を付与したんです。
消化率は制度をスタートした1年目で、恐らく55パーセントくらいだったと思います。約半数が使ってくれたということでかなり手ごたえがありましたね。

こうした施策を色々行って、休む機会やリフレッシュする機会、家族を大切にする時間を増やしていきたいと思っています。

時間といえば、実は2022年の1月までは、全社員が8時出社でした。しかし今は仕事によって社員自らが出勤時間を選ぶというシフト勤務を導入しています。

例えば、朝8時に出勤して、お通夜に参加したら残業決定ですよね。お通夜で残業は決定しているのに、朝の時間には仕事が何もない、なんてことがありました。
それなら遅い時間に出勤して、それまでの時間を自分の大切なことに当てたらいいよね、という考えから、毎朝行っていた朝礼を廃止しました。

このように75年間やってきた中で変えられなかった部分を、今どんどん変えているところです。良いところは残すけれど、変えるべきところは変えていこうということですね。

休日を増やしたりシフト勤務を導入したりと、色々な改革を進められているんですね。
改革の推進と業績の維持・向上を両立するために、西川様が留意されている点はありますか。

西川:まず、仕組みで変えられることはどんどん変えていこうという方針を立てました。
例えば、全社員にスマートフォンを持ってもらい、業務効率の改善を図りました。

それから、社員にお休みの考え方やオンオフの価値をしっかり伝えることも大切にしました。お休みの日には仕事関係の連絡が入らないようにするとか、公休を振り替えないとか、残業がなぜ良くないのかといった考え方、マインドの改革を私が先陣を切って進めるようにしています。

ありがとうございます。

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